去年の今頃は、『ブロークバック・マウンテン』があらゆる映画賞独占状態、前哨戦総ざらいで、オスカーは確実視されていたんだよね。作品賞や監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚色賞、撮影賞、音楽賞等々、毎日のようにうんざりするほど受賞の報せが届いていて、さて本番という段でがっくりと来てしまった。オスカーの授賞式の日には、引っ越したばかりの事務所のモニターを前に、シネマライズの頼社長と専務、ジェネオンの下橋君、永井氏、弊社のスタッフみんなで陣取って、固唾をのんで見守っていた授賞結果だったけれど……。僕たちの心は見事に“クラッシュ”してしまった。早いですね、一年って。
今年は、スコセッシ監督でしたね。現役監督の中では、数少ない映画らしい映画、大作然としたスケールを撮れる監督。みんなが酷評した『ギャング・オブ・ニューヨーク』の圧倒的な迫力と時代考証の再現力は、今やスコセッシ監督くらいしか表現できない世界観ではないでしょうか。僕は近年の彼の作品の中ではずば抜けた傑作だと思っている。オスカーでは不遇な監督だったけれど、やっとの受賞は本当に嬉しい。
でも心の隅に何となく引っ掛かる。
スコセッシにはやっばぁ、『タクシー・ドライバー』で作品賞をあげるべきだった。アカデミーは『ロッキー』を作品賞に選んでる場合じゃなかったんだよね。ハリウッド映画史的にはスコセッシと云えば『ディパーテッド』ってことになるんだよなぁ。
嬉しいような、哀しいような。
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