カンヌの一日は長い。7時のランニングから朝の2時ぐらいまで会食。陽も暮れるのが遅いから、22時ぐらいからようやく夜っぽくなってくる感じだ。すっかりと南仏の太陽の時間に体のリズムが整ってきた。
人々もカンヌに集まってきて、ようやくカンヌがフェスティバルとしての舞台用の化粧をし始めた。スピーディーだが、平和な時間だ。夜のクロワゼットはスリや強盗がいたりと結構危ないが、サングラスを通しても真っ青な空をみんな謳歌しているように思える。
とあるスペイン映画を観てから、スクリーニングを出ると一本の電話がかかってくる。前段の文章を吹き飛ばすような、ショッキングなニュース。それはクロックワークスの酒匂社長からだった。
「浜ちゃん、交通事故にあってしまいました。。」
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大至急かけつけると、同じくクロックワークスの根上さんが警察とやりとりしている。ノガヒルトン、人々がごった返している場所で、その事故は起きた。歩道を進めないぐらいの人の往来があったため、道路を二人が歩いていると軽自動車に乗った「クレイジーなフランス女性」(根上さん談)がアクセルを踏み、酒匂さんの左足をrun overしたらしい。
「酒匂さん、大丈夫〜?」
「大丈夫、大丈夫。でも歩くと痛い。たぶん捻挫じゃないかなと思うんだよね。」
まだ事故直後ということで明るく振る舞っている酒匂さんがベンチに座ってそう言った。私の経験上、骨折はしていないものの骨には絶対ヒビが入っているはず。高校時代に同じく車に踏まれた友人のことを思い出した。全治一ヶ月。そのときの彼は確かそのぐらいだった。
とりあえず大事には至らなかったものの、ノガにやってきたフランスの救急車にタンカーで運ばれる酒匂さんと根上さんともども、救急車に乗り込む。
「怪我してしまった酒匂さんには本当申し訳ないけど、救急車に乗れてめちゃめちゃワクワクしますよ。」
いつでもジョークを言う根上さんはいつも明るい。苦笑いかつ高笑いする酒匂さん。フランスの救急隊員は、日本の女性はかわいいか? を連発するし、なんともカンヌな救急車トリップとなった。
ERに到着。ERにてなんだかんだで5時間。10万以上はするであろう、ドルチェ・ガッバーナのジーンズがサブリナパンツ化し(笑)、ギブスをはめられた酒匂さんが現れる。レントゲンによると骨折とのこと。毎日注射をし、血流促進をしないと壊死してしまうと、その若くて聡明そうなドクターは話す。
驚いたのはERの費用がタダだったこと。フランスでのERは外国人含めてタダらしい。奇しくもマイケル・ムーア監督の最新作『SICKO』は、アメリカの医療問題を取り上げたドキュメンタリー。アメリカでは保険がないと医療が全く受けられなかったりする。最高の医療は受けられる国だけど、全国民のカバレッジが出来ていない国。住みにくさもあるが、寛大なヨーロッパらしさもここERで感じたのだった。
カンヌスタート直後の事故。なんともかわいそうな酒匂さん。でも妙に似合っているギブス姿であった。
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