「クリスマス・キャロル」で知られるイギリスの文豪チャールズ・ディケンズが生み出した不朽の主人公オリバー・ツイスト。ひとりの少年を通じて貧者を抑圧する社会システムに批判を投げかけた原作を映画化したのはロマン・ポランスキー監督だ。『戦場のピアニスト』で自らの過去と向き合った監督は、この映画を未来の子どもたちに捧げた。主役のオリバーに抜擢されたバーニー・クラークが昨年の東京国際映画祭に続いて再来日した。
すでにデヴィッド・リーン監督によって映画化され、ミュージカルにもなっているこの題材に新しい風を吹き込んだのはバーニー少年の魅力によるところが大きい。撮影当時は11歳だったというバーニーだが、過去の時代の人物になりきるのはそれほど難しいことではなかったそうだ。「映画なので作りものということはわかっていたけど、やっぱり時々奇妙な感じはしたかな。でもセットがとてもリアルだし、周りのキャスティングも素晴らしかったので時代の中にはすんない入っていけました」。
そんなオリバーとの共通点を尋ねると「二人ともハンサムでしょ!」という答えが! 撮影が行われたのはプラハのロケセットだが、オリバーの物語が繰り広げられる舞台もロンドンだ。奇しくもバーニーは生粋のロンドンっ子。盗みをはたらくマーケットにも「行ったことがあるよ!」と言う。「彼は親がいないけど僕にはいるし、救貧院にも入ったことがない。でもオリバーの勇敢さや強い精神力、人生と戦って勝つところなどは自分も持ちたいと思っています」。
ロマン・ポランスキー監督の映画では『ローズマリーの赤ちゃん』や『ヴァンパイア・キラー』を観たことがあると言う。「『ヴァンパイア・キラー』はコメディタッチでおかしかったし、『ローズマリーの赤ちゃん』はもっとシリアスだったけど両方とも面白かったよ」。そしてもちろん一番は「『オリバー・ツイスト』!」だ。
劇中でオリバーがジンを飲んで酔うシーンは、困難の多いオリバーの9歳の少年らしい素顔が垣間見える一瞬でもある。「実際にはお茶を飲んだんだけどね。酔っぱらう感覚はよくわからないけど、酔っぱらいはテレビでも見て知っているし、東京でも酔っぱらったサラリーマンをたくさん見たよ!」。
華奢でナイーブなイメージの強いバーニーのお気に入りは意外にもアクションシーンだそうだ。「屋上からぶらさがるシーンは映画で観る通りの高さで撮影したんだ。命綱はつけていたけどクレーンで撮ったんだよ。それ以外にもスタントが必要なようなシーンは全部楽しかった! でも観客として一番気に入っているのは、(トビー・クラキット演じる)マークの家に集合するところなんだ。だってあそこではみんなが揃っていたからね」。
ポランスキー監督はこの映画を自分の子どもたちに捧げたい、と語った。まさにその世代にあたるバーニーが、同世代や年下の子どもたちにこの映画から投げかけるメッセージとはどのようなものだろうか。「ストーリーが素晴らしいので歴史的な部分を楽しく見られると思う。昔を舞台にしているけれど、それはいまだにあるようなこと(貧しい生活環境)…悲しい状況が世界にはまだあるんだということを知るためにもよいと思います」。
「俳優は様々な役をこなしてこそだと思うので色々やりたい。でもできるならぜひアクションにチャレンジしてみたい!」というバーニー。ポランスキー監督が「君のオリバーを見たんだ」と言ったという彼の存在をスクリーンで観れば、きっとその意味がわかるに違いない。
『オリバー・ツイスト』
監督:ロマン・ポランスキー
出演:バーニー・クラーク、サー・ベン・キングスレー、ハリー・イーデンほか
配給:東芝エンタテインメント
劇場情報:1月28日より日比谷スカラ座ほか全国東宝洋画系にて公開
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