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December 23, 2005
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ウディ・アレン監督の最新作、『僕のニューヨークライフ』。舞台はおなじみのニューヨーク、悩める若手コメディ作家と、気まぐれな女優の恋人の関係を描いた青春ストーリーだ。第60回ヴェネチア映画祭のオープニングを飾った本作は、ヒロインにクリスティーナ・リッチを迎え、おかしくもセクシーで、切ない、ウディ・アレン定番作品に仕上がっている。監督が本作への想いを語った。

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ny_allen1.jpgQ.『僕のニューヨークライフ』のアイディアはどこから生まれたのですか?
「数年前から、似たような人々を知ってたんだ。映画では誇張して描いているけど、似たような女の子も、似たような男の子も、僕が演じたような男も知っていて、彼らの間で物語を転がすように想像してみたんだ。」

Q.主人公のジェリーは喜劇作家です。彼の役は、若い頃のあなたの姿のように見えたのですが……。
「僕が書くキャラクターをいつも脚本家や役者にするのは、彼らの生態をしっているからなんだ。そうじゃなかったら、どんな家に住んでるのか、どんなレストランで食事をするのか、わからないじゃないか。脚本家やミュージシャンや教師とか知ってる業界に人々を登場人物に物語を作るほうが安全なんだ。」

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Q.これはあくまでも想像なんですが、ジェリーは20歳の頃のあなたで、現在のあなたが若い頃の自分と対話しているように思えました。
「そうだね、最初にそういうふうにも考えていたんだ。だからそうとも言えると思うよ。ジェリーには僕の若いころの要素を入れてあるし、老人役の被害妄想的なところはまさに僕だ。だから、若い人物が彼の老いた姿と対話しているようにも理解することができるかもしれない。そういうふうに考えることもできるだろう。でも、僕が意図したことはそうじゃなくて、3人の物語を描くことだったから。恋に溺れる少年、少年に恋いこがれられる、とてもセクシーだけど扱いづらい少女、老人は少年にアドバイスを与え続け助けにもなるんだけど、後になって老人は狂ってたってことがわかる。この3人の物語はおもしろいものになるんじゃないかと思ったんだ。」

Q.では、もしあなたが若かりし頃の自分にアドバイスを与えることができるとしたら、どんなことをアドバイスしますか?
「う?ん……。僕は、誰にもアドバイスなんてできないものだと思ってるんだ。アドバイスなんてものは、人の感情には全く働きかけないものだと思う。アドバイスを聞くには聞くだろうけど、きっと『よくわかってないくせに勝手なこと言ってるよ』なんて思われるのが関の山だ。それに若い人にアドバイスをするのは本当に難しいことだよ。彼らは表面的にはわかったふりをするかもしれないけど、きちんと受け取っていないだろう。自分が年をとって、若い頃のことを思い返したときに、間違っていたことに気づいたとしても、若い人に何にもアドバイスしてあげられることはないだろう。間違いを避けて進む方法を教えたとしても、人はきっと間違いを起こすだろうから。老人のアドバイスなんて聞かないで間違えをおかすんだ。そういうもんだろう?」

Q.あなたが20歳の頃、将来映画監督になるだろうと想像できましたか?
「いいや。興味も持ってなかった。僕が20歳の頃、劇作家になるのだけが夢だった。テネシー・ウィリアムズやユージン・オニールのような、ヘヴィでシリアスな悲劇を書く劇作家に憧れていたんだ。でも僕には悲劇を書く才能はなくて、笑わせることしかできないと気づいたとき、失望した。それに人を笑わせることにはそんなに興味を持っていなかった。観客に衝撃を与えたかったのに、僕が書いたもの全てに、人々は笑ったんだ。キャバレーでジョークを言うようになって、どんどん成功していって、人々に愛されるようになった。テレビに出たら、気に入ってもらえた。それが僕の人生に起きたことなんだけど、映画監督になるなんて思ってもみなかった。ずっと舞台にかかわりたいと思っていたのに。それからしばらくして、映画の脚本を書く仕事をもらったんだ。僕はもちろん書いた。その映画は成功してQ僕は好きじゃなかったけど、とても成功したんだ。そして、『二度と脚本は書かない!』と言ったんだ。『僕に監督をやらせてくれないんだったらね』って。だって、映画監督というのは非常に映画の脚本家と近いものなんだ。そして、『OK、監督やってみれば』と言われたんだ。それから僕の処女作を監督したんだけど、あまりいい出来だとは思えなかった。だけど、すごく成功したんだ。それから二番目の映画も、三番目の映画も……それからずっと監督業を続けてる。マーティン・スコセッシやスティーブン・スピルバーグ、フランシス=フォード・コッポラのように監督になるために生まれて来たような方々とは違う。そういうふうには感じたことはないんだ。映画の制作資金を集めてくれるから、映画を撮る。情熱のありったけをぶつけているわけじゃないんだ。最近、舞台のために戯曲を書くことができてとても幸福に感じている。ユージン・オニールのように舞台のために悲劇を書くことができたけど、それも生まれてついて持ち合わせたものじゃないような気がしている。でも、コメディは僕のなかから自然に出てくるものなんだ。だから、ちょっと落ち込んでいるんだ……。」

Q.あなたのキャリアはコメディ作家としてスタートしましたが、あなたにとって、コメディとはどういうものですか?
「コメディは……人々を笑わせるもの、楽しませるものだ。古典的なドラマの時代から、コメディというものは観ているときも楽しく、きれいにまとまった作品だ。僕自身の見解だと、コメディというのは笑い笑い笑い笑い……というもの。だけどシェイクスピアの作品なんかだと、物語では笑う必要がなく、でもラストでうまくまとまっている作品をコメディと呼ぶこともある。僕は、笑いがなければコメディじゃないと思っている。それが僕の持論。」

Q.では、人生はコメディだと思われますか?
「人生はコメディかって? そうは思わないな。僕は人生とはいくつかのおもしろいエピソードが含まれた悲劇だと思っている。人生とはいつも悲しいものだし、悲劇的なものだよ。全ての人の人生が美しく終わるとは限らない。悲劇的だけどあそこにちょっとしたおかしなことが、ここにもおかしなことが……というふうに、真逆ではないんだよ。幸せな最期で、ここに悲劇が、あそこにも悲劇が……というものではない。最期は最悪でも、そこかしこにおもしろい要素があるはずなんだ。」

Q.人生って悲しいですね。
「そう、悲しいんだ。だから僕は悲劇を書きたいと思ってるんだよ。コメディは人々を楽しませるけど、本当の人生とは何かということには触れてないからね。」

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Q.主演のクリスティーナ・リッチについて聞かせてください。彼女は、「ウディ・アレンの映画に出演するならば、完璧なウディ・アレン・ガールを演じなくっちゃ」と言っていましたが。
「クリスティーナ・リッチはまさに僕の映画のタイプの女の子だね。都会的で、セクシーで、トラブル巻き込み型な人格を自然に表現してくれたから。そして彼女は本当に素晴しい女優さんだったよ。僕ら3人のコンビネーションは完璧で、僕にとって完璧なキャスティングだったね。彼女がスクリーンに登場するとかわいらしく、興味深いルックスだけど、演技も上手いし、なにしろ"女の子の複雑さ"を自然に表現できる女優さんだから。自然に僕の映画の中に存在していたね。」

Q.ジェイソン・ビッグスはいかがでしたか? 映画の中の彼はまるであなたの口癖をまねてしゃべっているようでしたが。
「みんなそう言うんだけど、そういうふうにしむけた訳じゃないんだ。ジェイソンはとてもスイートな男の子で、人に好かれるし、人を楽しませることができる。僕のように神経症っぽくはないから(笑)。もし僕がジェイソンのような役をやったとしたら、クリスティーナよりも神経質に見えてしまっていたと思う。神経症の少女、スイートで純粋な少年、狂った老人(笑)の3人がこの作品には必要だったんだ。ジェイソンは軽いコメディ・タッチを持っていて、スイートで愛すべき少年だ。彼も完璧だったよ。」

Q.『僕のニューヨークライフ』を観る日本の観客に向けてメッセージをいただけますか?
「『僕のニューヨークライフ』は作っていてとても楽しかった作品です。これはとてもキャラクター主導型の映画で、『さよなら、さよならハリウッド』のように葛藤が主題になっている作品ではないから。『さよなら、さよならハリウッド』は盲目の映画監督が主人公で……でもこの映画にはそのような要素はありません。3人のキャラクターが互いに影響し合うパワーについての映画で、とってもセクシーで神経質な女の子と、彼女のことを愛するスイートなボーイフレンド、そして僕が演じた狂った老人が男の子にアドバイスを与え続け、彼も言うことを聞くんだけど、最期に僕が完全に狂ってしまうんです。映画の強さは、ありえないようなキャラクターの3人が混ざり合って化学反応を起こすところにあると断言できます。」

『僕のニューヨークライフ』
監督:ウディ・アレン
出演:ジェイソン・ビッグス、クリスティーナ・リッチ、ダニー・デヴィート、ウディ・アレンほか
配給:日活
劇場情報:1月21日より恵比寿ガーデンシネマにて公開

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December 22, 2005
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愛することに不器用な母親と愛されることに不器用な息子。あるひと組の親子の生き様を通して、現代社会の抱える問題を浮き彫りにした『愛してよ』は、決して楽な映画ではない。西田尚美演じるシングルマザーは、一人息子のケイジをキッズ・モデルとして成功させることに母親としての愛情を投影しており、ケイジはそれをどこか冷静に見つめている。そこには困難と同時に希望もまたある。公開初日、舞台挨拶を終えたばかりの福岡芳穂監督にお話をうかがった。

両親は離婚、学校ではいじめられ、父親は自殺…というとハードな面ばかりが強調されがちだが、そこには10歳の少年の日常もきちんとある。例えばお世辞にも良好とは言えない関係のケイジと母親が一緒に入浴しているシーンがある。「問題を抱えているからと言って互いにぶつかり合ってばかりいたのでは日常は成立しないと思うんです。一緒にごはんを食べたり、お風呂に入ったり…(10歳であっても)死もあれば同時に性もあり愛も孤独も普通に存在している。つらいことはたくさんあるけど笑う瞬間もある、それが僕らが生きているということにつながっていくんじゃないかと思うんです」。

ケイジ役の塩顕治には台本を渡さなかったそうだ。よってケイジの芝居は監督によって仕向けられ、引き出された部分もあるとはいえ、劇中の状況に置かれた彼自身が考えて選択した結果であり、それはある意味ドキュメンタリーとも言える。他の子供たちの演技もすべて「この映画の中のこの役だったらどうするか」ということを前提に決めていったといい、そこではいわゆる集合としての子供ではなく一人の人間としてそれぞれが描かれている。「“大人”が簡単に理解できるような“子どもたち”ではなく、ひとりひとりの彼らをきちんととらえなければ何もわかることはできない。自分の周りにいるその相手をまず見つめて欲しいのです」。

aishiteyo02.jpg子どもたちを取り巻く暴力についても容赦なく描かれる。少年同士の暴行シーンではアクション的な演出が避けられているが、大人による少年に対しての暴行(虐待)はもっと儀式的な画で撮られている。「前者については、私たち大人はそれをじっと見つめねばならないであろうと判断しました。しかし後者に関しては、具体的な映像としては見せないという方法を選びました。大人の暴力についてはそれを想像せねばならないのではないだろうかと考えたのです」。

一方で、都市伝説の少女が登場したり空を飛ぶなどファンタジー的な描写も見られる。だがそれは現実の対極にあるものとしてではなく、あくまで現実の延長として描かれる。「表現としてはファンタジーかもしれませんが、10歳の少年にとってすべてはそこにあり実際に起きていたことで、私たちが少年を見つめ続けた先に見えてきたものなのではないかと」。

タイトルが示しているように、この映画には中途半端な気取りがない。普段なら言わないような台詞もダイレクトに言葉にしていてどきりとさせられるシーンがいくつもある。「親子でも男女でも愛の受け渡しは難しく、誰しも器用ではありません。僕もそういう父親だったと思う。そして子供と同じように女性とも向き合いたい」。「愛してよ」とは母親の叫びでもあったが、現場ではどうしてもケイジの撮影が中心になりがちだったとか。「西田尚美さんは素晴らしく感性が豊かで子供以上に子供のようなところのある人。この場を借りて謝りたいです(笑)」。

女性のことはわかりきれないんですが、と言いつつも「母親だけでなく、これから子供を産もうとしている女性にも観て欲しい」という福岡監督。作り手が切実であるだけに観る側の覚悟も試される作品である。幸せも不幸も平等にある…それが私たちの生きる世界の本来の姿であり、まずはそれを恐れずに受けとめることから始めてみたい。

『愛してよ』
監督:福岡芳穂
出演:西田尚美、塩顕治、松岡俊介ほか
配給:マジックアワー、ステューディオスリー
劇場情報:シアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開

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ビートルズ、ローリング・ストーンズを始め世界中のミュージシャンがリスペクトするボブ・ディラン。その音楽活動が現代アメリカ史と密接に結びつく彼の存在は20世紀のポップ・カルチャーにおいて外すことができない。そんな彼の初のドキュメンタリー映画(マーティン・スコセッシ監督)が公開される。自作の中でボブ・ディランを神様として登場させるなど自他ともに認めるディラン・フリークのみうらじゅんと、よく見れば風貌がディランとよく似ているミュージシャンの井上陽水がスペシャル・トークを行った。
※井上陽水=陽水/みうらじゅん=MJ

陽水「この映画が数多のドキュメンタリー映画と違うのは、人間の精神性が大変な映画だから。結局世界はアメリカが中心ぽい感じが続いてますよね。それを背景に音楽をやっているリアリティを感じさせる」
陽水「テレビ番組などでほめられているときのディランの表情に注目して欲しいですね」
MJ「賞賛に疑念を感じる人ですからね」
陽水「ポイントは、人種差別や公民権運動のオピニオン・リーダー的存在だったのが、あるときから“勘弁してくれ!”とやめちゃうところですね。なかなかできることではないですよ」
MJ「それでも(音楽を)やめないのがすごい」
陽水「ブーイングも西洋人だから日本人みたいに生ぬるくなくて野性的なんですけど、それに対するディランの対応もすごい。ブーイング後に演奏する曲がまた感じさせる」
MJ「できすぎてるんですよね」
陽水「上手な人ですよね。運がいいのかな?」

MJ「フリーホイーリン・ボブ・ディラン」のジャケットで当時の恋人と映ってるんですけど、まさに“ひとり「フライデー」状態ですよね。女性にとても影響を受けている人だと思います」
陽水「極論を言えば、すべて女性と愛のための歌ですもんね」
MJ「その点は非常に生々しい人間で、やってることが全然“フォークの神様”ぽくない」
陽水「例えば僕らだったら今トークしたくなくても降りられない。でもディランはそれをやってる(記者会見をドタキャンしたり)」
MJ「その逃げ方が面白い。音楽のみならず生き方すべてが。だってあの細い髭(=カイゼル髭)なんて誰が許したんだろう? パーマやハーモニカは真似できてもあれはまだできない。その点、大泉あきらはボブを取り入れたのが早かったですね」

MJ「スコセッシは『ラストワルツ』の頃から(この映画を)撮りたかったらしい。将来スコセッシに撮ってもらうっていうのが(ミュージシャンとしては)いいんじゃない?」
陽水「ジョーン・バエズなんか怒ってましたもんね、ツアーに連れて行って一回も出さないから。俺は引き上げてやったのに…みたいな。後にディランは『愚かだったかもしれない』と告白してましたけど、でも愚かなのが恋なんだ」とか言って」
MJ「チョイワル(不良)オヤジだ!」

dylan2.jpgMJ「マネージャーのグロスマンがディランのスタイルにかなり指示を出してるんですよ それをサイモン&ガーファンクルが皮肉った曲もあったりして」
陽水「アル・クーパーのシーンもいいですよね。伝説ですよ」
MJ「ぶらぶらしてていきなりキーボードに抜擢されるなんてね」

陽水「非英語圏の日本では欧米に比べて伝わりづらいかもしれないんですが、至るところ韻を踏んでいて楽しめるんですよ」
MJ「世界初のPV、ブートレグ(海賊版)を作ったのもディランですよね。ロックは全てここから始まっていると言っていい陽水さんも日本で最初にPVを作ったんですよね?」
陽水「そうですね、だから世界で二番目ですね」

…と、まだまだたくさんのマニアックネタが披露されましたが、続きは映画の中で。「素晴らしい映画の前を汚す極東の縮図」といいつつも、映画以上に(?)面白いトークをまったりと繰り広げてくれたお二人。いつもはボケ役のみうらさんがどちらかというとつっこみにまわり、陽水さんの天然の魅力を引き出していました。これを読めば映画を二倍楽しめること間違いなしです!

『ボブ・ディラン:ノー・ディレクション・ホーム』
監督:マーティン・スコセッシ
出演:ボブ・ディラン、ジョージ・バエズ、アレン・ギンズバーグほか
配給:イメージフォーラム
劇場情報:12月23日(金・祝)より渋谷シアター・イメージフォーラムほかにて公開

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