激しく愛し合いながらも、やがて運命に翻弄されて悲劇へと向かう…という“悲恋”の物語、『春の雪』。原作は根強いファンを持つ三島由紀夫の遺作で、これまでも海外の名将たちから映画化のオファーが殺到したというだけに、本作には世界中から注目が集まっている。記者会見には映画化を実現した行定勲監督をはじめ妻夫木聡、共演の及川光博、高岡蒼佑が登壇。それぞれの思いを語った。
東京国際映画祭には『きょうのできごと』(同じく妻夫木聡出演作)に続いての参加となる行定監督はかねてから、文芸作品を撮ってみたかったという。「現代日本には素晴らしい文豪が大勢いて、彼らは日本の財産。プレッシャーがなかったわけではないが、日本の美や在り方を、彼らの作品を映画化することを通して考えることができたら素晴らしいと思った」。
主人公の清顕を演じたのは、これまでの役とは異なり、禁断の愛に苦悩する青年に挑戦している妻夫木さん。「頭の中を白紙に戻して、気持ちを優先して演技しました。頭で理解するよりも、清顕の本当のピュアな気持ちを表現することができたと思います」。また先日本作が上映された釜山映画祭でも熱狂的なファンに迎えられたことには、「カムサハムニダ(ありがとう)です(笑)本当に驚きました」と照れながらコメントした。
また残念ながら欠席となった相手役の竹内結子さんについては「3回目の共演ですが、今回は、彼女が本来持っている女性らしさ、温かみのあるオーラや強さを感じました」と共演の感想を述べた。


妻夫木さんの親友を演じたのは、『パッチギ!』での演技が記憶に新しい高岡さん。「妻夫木さんは、面白いお兄さんという感じ。前から共演したかったので嬉しかったです」。
会見が行われた10月24日にちょうど誕生日を迎えた及川さん。「妻夫木さん、結子ちゃんとからむシーンが少なくて残念だった」「洞院宮治典という役を演じたのですが、スタッフから"殿下"と呼ばれるのが嬉しかった」「結子ちゃんの衣装がどれもこれも艶やかで、ちょっと羨ましかったかな」と発言し、会場の笑いを誘った。また大の読者家としても知られる及川さん。「日本の文学は世界に誇れるものだと思い、映画化されることは喜ばしいと思う」と語った。
舞台は大正時代だが、「愛は普遍的」という妻夫木さんの言葉の通り、描かれている愛の物語は現代にも多いに通じる。映像化不可能とも言われてきた三島ワールドが、行定監督の手によってどのようにスクリーンに再現されたか、自身の目で確かめて欲しい。
『春の雪』
監督:行定勲
出演:妻夫木聡、竹内結子、高岡蒼佑、及川光博ほか
配給:東宝
劇場情報:10月29日より全国東宝洋画系にて公開