10歳の息子をキッズ・モデルとして成功させようとするシングルマザーと、モデルの仕事が好きではない息子…。『愛してよ』は、そんな2人の親子関係を通して愛することに不器用な人たちの姿をとらえる。公開に先がけた完成披露試写会で、主演の西田尚美、塩顕治、福岡芳穂監督らが舞台挨拶に立った。
西田尚美演じるシングルマザーは、息子を愛する気持ちはあるものの、それを表現する術を持たないためにステージ・ママとして強引な行動に出てしまう。「難しい役でしたが、愛情をどう伝えていいのかわからないというのは、自分の中にもある部分。(それを引き出しながら)演じました。やっと公開できて嬉しいです」。
また、そんな母親に翻弄される息子役の塩顕治は、現場ではただひとり、脚本を渡されずに撮影に挑んだという。それは彼の生の反応をフィルムに収めたいという監督の意図だった。「レストランでビンタされるシーンは本当に痛かったです。でも、ラストシーンの撮影で西田さんが名前を呼んでくれたときは、(感情がこみ上げてきて)自然と泣けました」。
この日は本作にコメントを寄せている作家の室井佑月も特別ゲストとして花束を届けにかけつけた。「私も不器用な母親なので、心を揺さぶられました。この数年で観たなかでも一番よかったです」。それを聞いた福岡監督は「ずっと子供を描いた作品を作りたいと思っていました。室井さんのコメントを読んで、“一人の女性がこの映画を観てここまで感じてくれたのか!”と感動して泣きました」と感慨深そうに語った。
誰もが孤独をかかえながらも、愛し愛されたいと願っている。その切実な叫びから目をそらさずに真正面から向き合ったこの映画の勇気に拍手を送りたい。
『愛してよ』
監督:福岡芳穂
出演:西田尚美、塩顕治、松岡俊介ほか
配給:マジックアワー+ステューディオスリー
劇場情報:12月中旬よりシアター・イメージフォーラムにて公開