13歳のトレイシーにとっては学校いちばんの人気者、イーヴィの仲間になることが何よりも憧れていたこと。やっとそのチャンスをつかんだ彼女はいままでの優等生から180度自分を変え、派手な服装とメイクに身を包み、万引き、ボディピアス、ドラッグ…と過激な生活にハマっていく。認めてほしい、気づいてほしい。心の奥の悲鳴がようやく届く頃にはすでに身の破滅から後戻り出来なくなっていた。その彼女が救われるまでの真実の物語を痛いほどリアルに描いた映画が『サーティーン』だ。
衝撃的なことに、本作は共同脚本を手掛け、イーヴィ役を演じているニッキー・リードの実体験にインスパイアされたトゥルー・ストーリー。13歳で映画の脚本に参加し、14歳で女優デビューを飾った才能あふれる彼女が先日来日し、本作への思いや将来について語ってくれた。
 | 道をはずれたニッキーを救ったのは、本作の監督、キャサリン・ハードウィックだった。「私の人生が映画になるとはもちろん想像もしていなかった。(監督の)キャサリンに出逢い、私をポジティブな方向に導こうとしてくれた彼女は私に何か創作的な活動をすることを勧めた。そして文章の題材を模索していたら、結果的に自分の話になった。」 |
「自分を演じるのはニッキーにはハードすぎる」という監督の考えがあったため、映画の中ではニッキーは彼女が憧れた存在であるイーヴィ役を務めた。「他の人が自分に基づいたキャラクターを演じていることは、最初予想していた程不思議なものではなかった。エヴァンの素晴らしい演技により、まるで新しいキャラクターになっていた。」
| 「私は人生を後悔している、と多くの人が思っているかもしれないけど、今はとても幸せだし、自分では全く後悔していない。もちろんもっとティーンエイジャーを楽しめたかもしれないし、結果的に今はひとりで暮らしているけど、それでもやりなおしたとしても結局は同じ道をたどっている気がする。」 |  |
「13歳という年齢は私に限らず誰にとっても難しい年齢だと思う。少女から女性に変わる人生の転換期であり、いろいろな変化に混乱する年齢なのに、実際はそれについてアドバイスしてくれる人は少ない。私はとにかくキャサリンに出会ってとても恵まれた。」
もともと詩など、文章を書くことは好きだったというニッキー。でも脚本に挑戦しようと思ったのは、キャサリンと出会ってから。これからは女優業も続けながら、将来的には小説を書きたいそうだ。又監督にも興味があるので、大学にも行く予定だとか。「この映画には多くの女性スタッフが関わっているが、彼女たち、そして特にキャサリンに大きな影響を受けた。まだまだ活躍している女性映画監督は少ない、ぜひチャレンジしていきたい。」
又本作は脇を固めるベテラン俳優たちに支えられている。特にトレイシーの母親役、ホリー・ハンターの体当たり演技は特筆するべきものだ。変わり行く娘を必至に守ろうとする姿は観る人の心を揺さぶり、彼女は本作でアカデミー賞助演女優賞ノミネートを果たした。ほかにも美形俳優キップ・デパルデューが隣人役で出演しているが、彼とのキスシーンについては「撮影当時、27歳の彼に対して私とエヴァンはまだ14歳。母親や福祉関係の方の立会いのもとに撮影が行われ、見張られている気分だった!」という裏話を笑いながら話してくれた。
インタビュー後も気さくに話しかけてくれたニッキー。同ハードウィック監督作品『Lords of Dogtown』も公開が控えている彼女は、今後注目したい女性のひとりにまちがいない。
誰もが一度通ってきた13歳。胸をしめつけられる真実の物語には女性ならばきっと共感できるはず。この春イチオシの感動作、限定公開なのでお見逃し無く。
『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』
監督:キャサリン・ハードウィック
出演:エヴァン・レイチェル・ウッド、ニッキー・リードほか
配給:メディア・スーツ
劇場情報:4月16日〜5月13日までシブヤ・シネマ・ソサエテほか全国にて公開