オフビートなアウトサイダーやマイノリティを描かせたらこの人の右に出る者はいない、というのがテリー・ツワイゴフ監督。『ゴーストワールド』でスカーレット・ヨハンソンをいち早く“発見”し、ダニエル・クロウズのコミックスを見事に映像化してみせた監督が2作目のフィクションに挑んだのが『バッドサンタ』だ。日本での公開を前に来日した監督に話をうかがった。

::人間の“陰”の部分を描くのが得意な監督らしく、陰影のある顔立ちが素敵です。
おそらくこの冬公開されるクリスマス映画の中でも最悪のサンタを演じたのは個性派俳優のビリー・ボブ・ソーントン。彼を起用した理由についてツワイゴフ監督はこう語る。「彼は真実を追求する俳優で、役のリアリティについてよく考えている。だから監督に対しても非常に要求が高いんだ。小太りではなくひょろ長いサンタは笑えるしね」。当初はビル・マーレイを考えていたというサンタ役の候補にはロバート・デ・ニーロやショーン・ペンもあがったというから驚きだ。
| ::心の奥まで見透かされそうな、穏やかだけれど鋭い眼差しが印象的。 |  |
また、本作のキーパーソンとなるのが子役のブレッド・ケリーだ。「彼を見た瞬間“この子だ!”と思ったよ。彼以外の子はみないかにも子役っぽく見てくれの可愛い子ばかりだったからね」。ブレッドがサンタにしつこくつきまとうシーンで監督は「ビリー・ボブ・ソーントンをアダム・サンドラーだと思って追いかけなさい!」と演出したらしい。なぜなら「ブレッドがサンドラーの大ファンだったから」とのこと。ちなみにブレッドが映画の中で着ているTシャツに書かれているメッセージにも監督らしいエッジが効いているので一見の価値ありだ。

| ::(左)実際の監督は小柄で物静かに喋る方でし た。 ::(下)ちなみにこの日はclarksの靴をご着用。
 |
ところで『バッドサンタ』ではカルメンの「ハバネラ」などクラシックの名曲が数多く使われている。サンタクロースがデパートで子供たちの相手をしている時にかかる音楽は底抜けに明るいが、監督いわく「落ち込むほど明るい曲を使うことで、逆にサンタの荒んだ状況を際立たせたかった」そうだ。だが、実を言うと監督は今回の音楽に関しては100%満足できていなかったようだ。その分はまた次回作のお楽しみにしたい。
飲んだくれで女好きのサンタやデブでいじめられっ子でおよそかわいげのない子供など、登場人物は一癖も二癖もあるキャラクターばかりだが、どこか憎めないのは、社会のはみ出し者である彼らを見つめるツワイゴフ監督の目が優しいからであろう。「私は問題を抱えた人間や家族に惹かれる。そのほうがリアルだし、(問題を抱えているのが)自分だけではないとわかって安心できるからだ」と公言する監督の映画で救われる人も多いに違いない。今年のクリスマスは『バッドサンタ』でいつもとは一味ちがうイヴを楽しんでみては?
『バッドサンタ』
監督:テリー・ツワイゴフ
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックスほか
配給:ワイズポリシー
劇場情報:12月4日よりシネマライズほか全国にて順次公開
(C)2004 WISEPOLICY INC. All rights reserved.