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November 27, 2004

オフビートなアウトサイダーやマイノリティを描かせたらこの人の右に出る者はいない、というのがテリー・ツワイゴフ監督。『ゴーストワールド』でスカーレット・ヨハンソンをいち早く“発見”し、ダニエル・クロウズのコミックスを見事に映像化してみせた監督が2作目のフィクションに挑んだのが『バッドサンタ』だ。日本での公開を前に来日した監督に話をうかがった。

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::人間の“陰”の部分を描くのが得意な監督らしく、陰影のある顔立ちが素敵です。

おそらくこの冬公開されるクリスマス映画の中でも最悪のサンタを演じたのは個性派俳優のビリー・ボブ・ソーントン。彼を起用した理由についてツワイゴフ監督はこう語る。「彼は真実を追求する俳優で、役のリアリティについてよく考えている。だから監督に対しても非常に要求が高いんだ。小太りではなくひょろ長いサンタは笑えるしね」。当初はビル・マーレイを考えていたというサンタ役の候補にはロバート・デ・ニーロやショーン・ペンもあがったというから驚きだ。

::心の奥まで見透かされそうな、穏やかだけれど鋭い眼差しが印象的。bad_2.jpg

また、本作のキーパーソンとなるのが子役のブレッド・ケリーだ。「彼を見た瞬間“この子だ!”と思ったよ。彼以外の子はみないかにも子役っぽく見てくれの可愛い子ばかりだったからね」。ブレッドがサンタにしつこくつきまとうシーンで監督は「ビリー・ボブ・ソーントンをアダム・サンドラーだと思って追いかけなさい!」と演出したらしい。なぜなら「ブレッドがサンドラーの大ファンだったから」とのこと。ちなみにブレッドが映画の中で着ているTシャツに書かれているメッセージにも監督らしいエッジが効いているので一見の価値ありだ。

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::(左)実際の監督は小柄で物静かに喋る方でし
  た。
::(下)ちなみにこの日はclarksの靴をご着用。


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ところで『バッドサンタ』ではカルメンの「ハバネラ」などクラシックの名曲が数多く使われている。サンタクロースがデパートで子供たちの相手をしている時にかかる音楽は底抜けに明るいが、監督いわく「落ち込むほど明るい曲を使うことで、逆にサンタの荒んだ状況を際立たせたかった」そうだ。だが、実を言うと監督は今回の音楽に関しては100%満足できていなかったようだ。その分はまた次回作のお楽しみにしたい。

飲んだくれで女好きのサンタやデブでいじめられっ子でおよそかわいげのない子供など、登場人物は一癖も二癖もあるキャラクターばかりだが、どこか憎めないのは、社会のはみ出し者である彼らを見つめるツワイゴフ監督の目が優しいからであろう。「私は問題を抱えた人間や家族に惹かれる。そのほうがリアルだし、(問題を抱えているのが)自分だけではないとわかって安心できるからだ」と公言する監督の映画で救われる人も多いに違いない。今年のクリスマスは『バッドサンタ』でいつもとは一味ちがうイヴを楽しんでみては?

『バッドサンタ』
監督:テリー・ツワイゴフ
出演:ビリー・ボブ・ソーントン、トニー・コックスほか
配給:ワイズポリシー
劇場情報:12月4日よりシネマライズほか全国にて順次公開
(C)2004 WISEPOLICY INC. All rights reserved.

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November 26, 2004
「すでに1年間365日眠っていない。」この衝撃的なキャッチフレーズを冠する映画のタイトルは『マシニスト』。斬新な構成と独特の映像センスでサンダンス映画祭を賑わせた本作の監督ブラッド・アンダーソンが来日したというので、作品の秘密を探るべく会いに行ってきた。machinist_1.jpg
::素顔はこんなに優しいブラッド・アンダーソン監督(逆光気味)。

まず何よりも観客の目を奪うのは、主人公である不眠症の機械工・トレバーを演じたクリスチャン・ベイルの異様に痩せ衰えた身体だろう。これはベイルが自主的につくりあげたものらしい。「もともとシナリオに“歩く骸骨”という表現があった。クリスチャン・ベイルは書かれていることを忠実に体現しようとする俳優なので、こちらが言うまでもなく体重を落としてきた。結果的にとてもいい画が撮れたし、あそこまでやってくれた心意気には本当に感謝している」とアンダーソン監督も満足気な様子だった。

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::でもやっぱりこんな鋭い眼光も隠し持っていた。

『マシニスト』を作るにあたってアンダーソン監督は、不吉な雰囲気をビジュアル化できる素材を求めていたところ本作のシナリオと出会い、その奇妙で風変わりな世界観に惚れ込んだという。ところがアメリカでは「エンディングがダークすぎる」との理由で出資を受けられず、3年の後にスペインの制作会社によって作られることになった。そのため舞台はロサンゼルスという設定だが、実際の撮影はバルセロナで行われた。バルセロナは非常に特徴のあるユニークな街だがアンダーソン監督によると「面白いことにどこの街でも文化的中心部を離れて少し郊外へ行くと驚くほどアメリカに似ている」のだそうだ。その成果はぜひとも本編でお確かめいただきたい。

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::(左)横顔にも味があります。   (右)『マシニスト』について熱心に語るアンダーソン監督            そして本作のキーとなるのが“ハングマンゲーム”だ。日本では馴染みが薄いが、アメリカでは子供が単語を覚える方法としてポピュラーに用いられている。ここではネタばれになるので詳しくは言えないが「人生のパズルを解いていく過程を表わす重要なメタファー」として効果的に使われている。その他にも空港や遊園地などが印象的なメタファーとなっているのでそちらにも注目して観ると面白い。

ちなみにアンダーソン監督は9ヶ月前にお嬢さんが生まれたばかりだそうで、この9ヶ月は常に寝不足が続いているらしい。子供には自分の映画を観てもらいたいか?との質問に「もちろん! でも17歳になってからね」と答えたその笑顔はまさに父親だった。

machinist_5.jpg::ポスターのベイルと仲良く2ショット。

主演のクリスチャン・ベイルは渡辺謙も出演する2005年公開予定の『バットマン ビギンズ』では見事バットマン役を射止めている。作品ごとにがらりと雰囲気を変える彼の変幻自在ぶりには今後も目が離せない。そんな彼をここまでダイエットさせたブラッド・アンダーソン監督による『マシニスト』を目撃するなら今が絶好のチャンスである。


machinist_main.jpg『マシニスト』
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:クリスチャン・ベイル、ジェニファー・ジェイソン・リーほか
配給:東芝エンタテインメント
劇場情報:2月12日より渋谷シネクイントにて公開

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November 22, 2004
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「ありがとーーーー!」というハイテンションな挨拶で始まった『ターミナル』来日記者会見。8年ぶりにトム・ハンクスが来日した。「前回来日した時にちょうど息子が生まれて、その息子が今8歳だから8年ぶり、というのがすぐにわかるんだ。」

hanks2.jpg本作は主演トム・ハンクスと彼が“天才的”と称したスピールバーグ監督とのコラボレーションが話題となっているヒューマン・ドラマ。トムが演じるビクター・ナボルスキーは、ニューヨークへ飛行中に祖国でクーデターが起り、飛行場に到着したものの入国を拒否されてしまう。仕方なく空港で入国許可が下りるのを待ち続けるビクターであるが、その間に英語を覚え、恋が芽生え、そして何よりも飛行場の従業員との間に友情が生まれる。彼と関わる人皆ビクターの持つポジティブさに引かれ、そして彼がどうしても入国しなければならい理由である「約束」を果せるよう全員が応援するようになる。

hanks3.jpgビクターはクラコウジア人であり、最初は英語も話さない(クラコウジアは架空の国であるため、彼が話している言葉は実際はトムの祖先のブルガリア語とのこと)。しかし、この役を違和感なく演じられているのはやはりハンクスの才能という一言につきる。「僕は生まれつき俳優だと思っている。ビクターが飛行場に閉じ込められていたように、僕もセットに朝から晩まで缶詰になることがほとんどだが、俳優は一日やっていても全く疲れないよ。」

そのスタジオであるが、本作のためにはなんと”実物大の空港ターミナル”という前代未聞のセットが用意された。セットとはいえ、35店の店舗が入居し、まさに本物のターミナルそのものである。「本作のセットはバーガーキングやパンダ・エクスプレス(中華料理のテイクアウト)まで揃っていて、今まで演技をしたセットの中ではいちばん快適だったよ。広いし空調はいいし、そしてベンチなど休む場所が至る所にあったからね。」

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ちなみにトム自身も空港で飛行機が遅延し、14時間も待たされた経験があるそう。その時はTWA航空のファーストクラス・ラウンジに忍び込んで床に寝たそう(!)だが、もし仮にビクターと同じような状況になったとしたら「きっと同じように友だちを作って、恋にでも落ちていたと思うよ」と笑いながら話してくれた。

終始ユーモアあふれるトムであったが、9.11と移民の入国に関しての質問があがると、「9.11以降、アメリカに入ろうとする全ての外国人、特にある民族や、ある外見を持った人々に対して、皆容疑者扱いをしている。しかしこれは過剰に警戒しすぎているところもあって、実際はアメリカ社会に貢献するような人々もたくさんいるということも忘れないで欲しい、ということを伝えたかった」とシリアスなメッセージも語った。

トムが出演する大半の映画のように、本作も笑いあり、涙ありの上質エンターテイメント大作となっている。ややファンタジーっぽい設定ではあるが、いつの間にかビクターの世界に引き込まれ、彼を応援するようになっていること間違いない。その世界はトム・ハンクスが演じているからこそ作り出せている、そう納得してしまうような記者会見であった。

hanks6.jpg::記者会見場も飛行場のターミナルを模して飾られていた

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