『少林サッカー』などで知られるクロックワークスの酒匂社長とカフェグルーヴ浜田社長と今回のモンドヴィーノ担当永留氏と恵比寿のイタリアアンレストラン「カルチェ」でルイ・ジャドという白ワインを飲ませていただく。
みんながコルクの匂いを嗅いでいるので僕もマネして嗅いでみる。みんなのマネをして「いい香りだなぁ」などと言ってみるのだが風邪気味で鼻が詰まり気味というのもあるのだが、あまりわからない。ソムリエの人は鼻が詰まっているときは、どうしているのだろう。
葡萄の房をかぶった顔(表現あっているのかわからないが…)のマークを見て、僕は思い出したことがある。恐らくこのワインはホワイトマンNo.11ボッチャマンの家で飲んだことがある。ボッチャマンとはフィラデルフィアに住む家具デザイナーでワイン通なのだ。以前、僕は、カメラマンのNo.7かめら〜まんと彼の家に遊びに行き、ボーッとワインばかりを飲む日々を堪能していたことがある。僕がワインを好み始めたのはこれがきっかけかもしれない。味もわからないのに次々にボトルが空いていくのであった。
ある朝、ボッチャマンは
「今日、僕、ギャラリーに行かなくちゃいけないんで勝手に飲んでいてください。白ワインを冷やしておきましたから…」
とあまりに飲み続けては、眠り続ける2人に彼はあきれたように出掛けて行った。僕らは起きたばかりで、借りていたバスローブをはおったまま冷蔵庫から白ワインのコルクを抜き、
「おはよう。世は極楽じゃのぉ」と貴族気取りで乾杯し、また一日が始まった。
お互い、そのワインを口に含んだとき表情が変わった。正直、酸っぱいのである。でも高いワインを飲んだことがないから、味がわからないだけなのかもしれない。僕はかめら〜まんの一言を待った。しかし、かめら〜まんからの一言はなく、彼も僕をじっと見つめている。そういえばかめら〜まんは僕のような初心者よりはワインの知識はあるものの、初級者レベルである。お互いワイングラスを持ったまま、にらみ合った。沈黙に耐えきれず、
「や、やっぱり僕は赤が好きだなぁ」
「そ、そうだよねぇ」
と白ワインにコルクをして冷蔵庫に戻し、赤ワインをラックに取りに行くのであった。
昼過ぎに戻ってきたボッチャマンが口に含み、すぐに吐き出した。
「うわっ、これ保存状態最悪。これじゃビネガーだ〜」
と吐き出して言った。
「やっぱり〜」
僕はかめら〜まんとホッとするのであった。ちなみにその4日間で僕とかめら〜まんは、ボッチャマンの家のワインを30本以上、飲んだそうである。以来、ボッチャマンはワインを隠すようになった。もちろん、恵比寿のカルチェで飲んだルイ・ジャドはお料理に合う最高のワインだった。