[cinemacafe.net BACKNUMBER] バックナンバー




September 11, 2004
セレブ求めてモミクチャの“「マル高」なおっかけ”

それは昨日の夜のこと。パラマウント劇場でキム・ギドクの新作『3-IRON』を見終えた私が外に出ると、そこには封鎖された道路にレッドカーペットが。念のために言うけど、私のためではない。その日パラマウントの近くでテレビ局取材のパーティーが開かれる予定だったのだ。時間は午後8時前。次の上映の10時まで時間のあった私は、体が小さいのをいいことに他人の股下をくぐってシュルシュルッと場所をキープ、すかさずカメラを構え周囲の人に聞きまくる。「来るのはニコラス・ケイジだ」とか「マーク・ウォルバーグが来るらしい」とか「オーランド・ブルームを待ってるの」とか言うファンの言葉に、俄然高まる期待感。このサイトを運営している会社の社長、通称“ハマちゃん”に「セレブログなんだから、セレブの写真撮ってきてくんないとさあ」とか言われそうな恐怖に震えていた私は、「どうよ」と言い返すチャンスをとうとう手にした、手にしてやった! と思っていたのだ…が。

待てど暮らせど、セレブはこない。いや、来たことは来ましたよ。「あの人はカナダの名優なのよ」とか「あれはカナダで有名なレポーター」とか、となりのカナダ人が教えてくれました。いえいえ国際的な人もいたの。カナダ出身の監督アトム・エゴヤンとかさ、ジェニファー・ジェイソン・リーとか、ネーヴ・キャンベルとか、TVドラマ「ロズウェル」でマイケル役やってた男の子とか……でもさ。あたしが欲しかったのはニコラスとかオーランドとかナオミ・ワッツとかショーン・ペンとかそーゆーピチピチな人なのよーっ。結局1本上映を飛ばして11時半まで粘った私に残されたのは、電池の死んだデジカメだけだった。ぐったり……。

toronto7.jpg::パーティーはこーんなリムジンだらけ。見物客の前を通るとき空だと大ブーイングが起こってオモロイ

そんなわけで今日の決意は固い。映画という本道を通しつつも、町で劇場でセレブをキャッチすることを私は心に誓った。1本目の映画を見ると、映画祭本部のあるトロントのセレブエリア、フォーシーズンズへと足を踏み入れる。車寄せに鈴なりのおっかけと一緒にリムジンを覗き込み、フォーシーズンズに泊まってる日本人でーすみたいな顔してホテルに潜入し、いろんなところを嗅ぎまわったのである。でもさ、当然だけどセレブってなかなか会えないものね〜。あたしもいい年こいてアホよ、マジで。

だが絶対にニアミスできるチャンスが今日、1度だけある。それはロイ・トンプソン・ホールのガラだ。毎日ガラ上映のみが行われるこの劇場は、マスコミ用が写真を撮るために短いレッドカーペットがある。今日の上映は『House of Flying Dagger』。そう『ラバーズ』のチャン・ツイィーだ。この間来たばっかり、インタビューしたばっかりじゃんか…と思いつつも、昨夜と同じく人々の股下を抜けてポジション確保。そしてお姫様の登場に劇場前は興奮のルツボとなっていったのだ。撮るわよ撮るわよ撮ってやるうううとカメラを構える私、その前に立ちふさがるTV局の巨大カメラ。世界は突如スローモーションになり、その中で私は日本語で叫ぶ。どきなーっそこのカメラマン…! するとカメラとカメラにすっと狭間が。隣りに立ってたインド人のおばチャンが「今がチャンスよ! 撮るのよ! 撮りなさい!」と叫び、私がシャッターを必死で押すと、そこにいるのはハゲ頭のチャン・イーモウ、違うこいつじゃないっ! そこに遠くから聞こえるツィイ〜という嬌声、パンした私の視界にお姫様がっ! 動かないで動かないでチャン・ツイィー、夜は高感度モードだからシャッタースピードが遅いの、動いたらブレるのーっ……!

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::チャン・ツイィー、動いちゃダメって言ったのにぃぃぃぃ…

……とまあこんな具合に撮った写真がコレである。そりゃもっといい写真が撮りたかったさ。でも“おっかけ”としちゃあ「マル高」なアタシが、もみくちゃになって撮った写真なの。この傷心を癒してくれた作品は、翌日午前中に見た私のラスト・ムービー「Le Choristes」。ありがとう、ジャック・ペラン。このご恩は忘れません。

toronto9.jpg::英語が得意じゃないから一言だけ…とか言って、5分はしゃべったジャック・ペラン(左)。右は『Le choristes』の監督クリストフ・バラティエ

そしてむせび泣きの“アツミシホ的トロント映画祭”が終わったのである。次は来月、釜山でお会いしましょう。

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September 10, 2004
オタクなカナダ人の「ミッドナイト・マッドネス」に大拍手

B&Bのダイニングルームで朝食を食べていたら、隣のカップルが映画祭の話題。昨日、押井守の『イノセンス』を見たらしい2人は「みんな字幕追うのに必死でさ〜」なんて言っていた。そーだろう。だって日本人が見たってあの映画難しいんだから。それにしてもカナダ文化はオタク文化って気がする。マイク・マイヤーズとかジム・キャリーみたいなおたくネタの芸人も多く輩出してるし、町では日本の美少女アニメのイベントのポスターもときおり見かける。そして映画祭では“ミッドナイト・マッドネス”。だーっ。

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::ミッドナイト・マッドネスの宣伝ビジュアル

一昨年は人間をザックザック斬りまくる三池崇史の『殺し屋1』の上映でゲロ袋を配り、去年はトニー・ジャーの『マッハ!』を取り上げたこの企画、SFやホラーなど限定ジャンルのB級ちっくな作品ばかりで、何がミッドナイトって上映開始が11時59分なんである。なんで12時じゃないのっかな〜。今年のラインナップは件の『イノセンス』に、三池崇史の『ゼブラーマン』(わお!)、前に普通のBLOGに書いた血みどろサスペンス『ソウ』(今秋日本公開予定)、クリスチャン・ベールが神経症の激ヤセ男を演じる『マシニスト』(来年日本公開予定)などなど、夜中に見れば盛り上がれる、夜中じゃないと盛り上がれない、もう夜中に見るしかないっ! ってな作品ばかり。そんなわけで1本は絶対に見てやる! と決意し、私が手に入れたのは『Creep』。夜中の上映をワクワクしながら、今日のプログラムをスタート!

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::町歩いてるとフリーペーパーはザクザク手に入る

どこの映画祭もそうだけれど会期中はフリーペーパーが大活躍。トロントでも劇場や本屋など町中の様々な場所で手に入り、大抵の場合は上映作品の“星取り”とリビューが批評家のイニシャル入りで載っている。ちなみに私が手にしたフリーペーパーで、批評家を限定せず五つ星(Best of Fest)を取った作品は次のとおり。

Z CHANNLE:A MAGNIFICENT OBCESSION *カサヴェテスの娘XANの監督作品
LIGHTING IN THE BOTTLE *『キング・アーサー』のアントワン・フークワ監督による音楽もの。
OMAGH
THE ALZHEIMER CASE *ベルギーのスリラーらしい。
MOOLADE

おおっ、なんだ、映画ライターっぽいこと書いてるな、あたし。ひとつも見てないけど。たはっ。もちろん本日の目玉作品『Creep』は批評すら見当たらない。もしや批評するにあたらないってこと? いやっほ〜〜〜い!

・・・そして夜中。時間ギリギリでつけば劇場はまさに満員御礼。他の上映は1人とか2人が多かったのに、この上映は4〜5人のグループが多い感じ。映画は夜中の地下鉄駅に閉じ込められた女が、地下で人間を食って生きてる(たぶん)謎のネバネバグチュグチュ男に夜通し追われるという内容で、とんでもなくスプラッタなのに微妙にコミカルな見事なB級作品だ。でもツボを心得た観客は血しぶきあがるたびにイェーッ! とかキャーッ! とかゴーッド! とかノリノリの大喝采大歓声。これは、まさに東京ファンタスティック映画祭の「渋パンオールナイト」と同じノリ、別の言葉でいいかえれば“映画おたくノリ”である。いやーまいった、カナダ人。楽しみました気に入りました。

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September 09, 2004
ギリギリでゴージャスでシワシワなトロント映画祭に、頭キ〜〜〜〜ン。

本日よりトロント映画祭開幕。9日から開幕なのにプログラム公表は8月30日、発売はなんと8日からというギリギリ映画祭である。映画祭パスや30本〜50本のクーポンも売り出されるけど、作品が決まっていない時点でそんなもん買うほど本気モードじゃないんだな〜、あたし。でもそういうのさえサッサと売り切れちゃうほどトロント映画祭は大盛況。メイン会場から1ブロックはなれると「映画祭なんてやってるの?」って感じのモントリオールとは違い、満杯の高級ホテルに山盛りのセレブとおっかけ、町中ではリムジンがバンバンすれ違ってたりしてすっげー。町でセレブに会えたりすんの?

toronto1.jpg::映画祭のメインビジュアル、怖いって。このデザインの公式Tシャツはカナダのユニクロ”ROOTS”で売ってるけど、あんまり欲しくない






そんなわけで初日は“ガラ”だらけ。英和辞典によれば“GALA”とは、ふむふむ、「お祭り、特別な催し」。つまり舞台挨拶やレッドカーペットつきの上映である。すべてのガラのみ見ることができるガラ・チケットなんてのもあるそうな、ふう〜ん。チケットはないけど物見遊山、当日券狙いで夜のガラ『Being Julia』に並んじゃおーっと。それにしてもカナダの映画祭はパンフが不親切で、モントリオールに続きトロントも最悪。プログラム初めて見るし、ボックスオフィスに行ったらチケットは売り切れ続出で、早く決めなきゃいけないし、なんか頭キーンってしてくんな〜。

映画祭の劇場はトロントのダウンタウンの、だいたい3地区に分布している。ゴチャゴチャした新宿みたいな「ヤング通り」(ヘンな名前〜)、緑の多い広い通りに病院と大学が並ぶ「ユニバーシティ通り」、高級ホテルとブティックが並ぶ青山〜赤坂ちっくな「ブロアー通り」。場所により劇場により、ゴージャスだったり、古っちかったり、はたまた美術館だったり、巨大シネコンだったりして、これまたオモロイ。

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::ユニバーシティ通りに近いシネコン”パラマウント・シアター”

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::ヤング通り沿いの”エルジン・シアター”は、すごいエレガント

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::ガラ専門の”ロイ・トンプソン・ホール”は近代的なガラス張り。向こうに見えるマッチ棒みたいなのはトロントの名所”CNタワー”

さて本日の『Being Julia』は“新宿”のライアーソン劇場で、舞台挨拶つきのガラ上映。主演のアネット・ベニングとジェレミー・アイアンズが登場し、なんかゴージャス気分だけど、なーんか二人ともシワシワだなあ。30分遅れで始まったロイ・トンプソン劇場ではウォーレン・ビーティー(アネット・ベニングの夫)も登場したらしい。このひともシワシワだしなんか初日はシワシワだらけ。もっとピチピチした人が見たいんだにゃあ。

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カコキジ!