去る7月7日、5人の審査委員を迎え、フェスティバルの最終選考会と表彰式がユナイテッド・シネマとしまえんにて行われました。式には応援にかけつけた『ロボッツ』主人公のロドニーも登場。各賞の受賞結果は次のとおりでした。
・グランプリ:「鳥の街」(半崎信朗)


・優秀賞:「MICHILD」(斉藤壮平)

・準優秀賞:「she」(孝橋茉莉江)、「スタンド・バイ・ミー〜機巧(からくり)的人生模様〜」(南澤伸)


・入賞:該当者なし
・日本アニメーション協会奨励賞:「鳥の街」(半崎信朗)
半崎信朗さんが「鳥の街」でグランプリと奨励賞をダブル受賞しました。これはちょっと意外な結果かもしれません。「鳥の街」はモノクロで手描きアニメの上、難解な内容だったからです。作画の点では素晴らしいものがありますが、アニメ作品としてどう評価されるかが気になっていましたが、審査委員はこの作品の魅力を見逃さなかったようです。
受賞作の選ばれ方を見ると、「審査委員は作品の全体を評価したな」という気がしました。技巧的にはからくり人形の動きを精密に再現して見せた南澤伸さんの「スタンド・バイ・ミー〜機巧(からくり)的人生模様〜」が一番だと思えましたが、この作品は準優勝に止まりました。
斉藤壮平さんの「MICHILD」も、テーマ性はそれほど強くはないものの、キャラクターの造形が面白く、感情移入しやすいため、作品全体のバランスやまとまりがよいと判断されたのでしょう。孝橋茉莉江さんの「she」もアート性とテーマ性が両立している点が評価されたものと思われます。
残念だったのは入賞作がなかったことです。長谷智恵子さんの「コドモノ抜ケ殻」を入選させる手もあったように思われますが、審査委員はこれを超える内容を求めているということでしょう。アート性とテーマ性の両方を持つ深みのある作品を審査委員は求めているのです。CG&アニメ・コンテストでは、CGやアニメという手法を使って、作者自身の思想を表現するところに意義があるのです。当コンテストも3回を数え、再び原点に帰ったという気がしました。

::審査員一同
山村浩二審査委員は「クオリティは上がっていますが、“ドキドキ”できるような作品には出会えませんでした」とあえて苦言を呈しました。中島信也審査委員は「CGだと、あまり実物を見ないでも、映像が出来てしまう危険がありますからね。今後、CGに取り組むクリエーターの方々は“観察眼”を大切にしてほしいと思います」と警告しました。どうやら、審査委員たちは、アニメ作家の視点が感じられる作品を選ぼうとしているようです。やはり、CGやアニメ製作の知識だけでなく、自身の視点が反映された作品に挑戦することが大事なのです。自身の視点を観客の前に明らかにするということは、人前で服を脱ぐほど恥ずかしいものですが、それについては松本零士審査委員長のお言葉がすべてを語っています。
「これからは、日本だけではなく、世界を相手にする時代。心臓に毛を生やして、頑張ってください」
この言葉を胸に刻み、未来のアニメーターの皆さん、来年の応募作品の構想を練ってみてください。本フェスティバルは皆さんの飽くなきチャレンジを待っています。