今回は特技監督も樋口真嗣氏を紹介しましょう。
昨年まで、樋口氏の紹介には「特技監督、平成『ガメラ』シリーズ、他」と書かれていました。今年から「映画監督、『ローレライ』、他」と変わりました。
樋口氏は実写SFXからセルアニメ、CGのいずれをもこなすマルチクリエータとして知られ、『ガメラ』では実写の特撮監督、『新世紀エヴァンゲリオン』では作画・特技監督、『とっとこハム太郎』ではCG監督を務めたりと、実に多才な分野で活躍してこられました。今回、そうして培った総合的な演出力を『ローレライ』に投入し、仮想戦記とSFの融合を果たしました。
『ローレライ』は第二次世界大戦末期、ドイツからもたらされた新兵器ローレライ・システムを搭載した「イ507」が、三発目の原子爆弾が東京に落とされることを阻止するためにサイパン島の近くのテニアン島へ出撃する話です。もちろん、すでに陥落して米軍の手に落ちたテニアン島周辺までの海域は米海軍の監視下にあります。驚異的な探知能力を持ったローレライ・システムを使い、艦長絹見真一以下のクルーが圧倒的な米海軍を相手に死闘を繰り広げます。
今年3月に公開されて大ヒットしたこの作品は、まさに日本のCGクリエーターの総力をあげたものでした。戦闘や空襲で破壊された東京などはすべてCGで作成されました。CGを使用するカットが多いため、アップルコンピュータを多数高速回線でつなぐことで大容量のデータの転送を可能にするシステムを構築し、効率のよい製作を追及したのです。
樋口監督の作品はアニメの作画監督で培った絵の見せ方のノウハウを実写に生かすのが特徴で、『ローレライ』もそうしたノウハウを駆使した作品でした。きっと、コンテストの審査ではそうした演出力を中心に審査してくれるに違いありません。