10月29日、第17回東京国際映画祭の特別招待作品『五線譜のラブレター』の主演ケヴィン・クラインが待望の初来日をはたした。本作は「夜も昼も」「ビギン・ザ・ビギン」など、数々の名曲を世に残した伝説の作曲家コール・ポーターの半生を、夫婦愛にスポットをあてながら描いたラブ・ストーリー。アカデミー賞受賞の名優だけではなくブロードウェイでも活躍するクラインは、ポーター役として演技、歌、ダンス、と大いに才能を披露している。
本作ではドラマチックな作曲家を演じる彼だか、『イン&アウト』などのコメディ役もこなす彼は「まだホテルから出られていませんが、とても素敵な国だと思います」と挨拶から笑いをとっていた。彼のユーモアのセンス、紳士的なゆったりとした語り口に会場は終始なごやかな雰囲気に包まれ、「癒し」の会見となった。

前述の通り、ミュージカルにも出演しているクラインは、俳優になる前は音楽を志していたそうで、「歌う俳優」と自らを称するように、この役はまさに適役。とはいえ作曲家であるコール・ポーターを演じる上ではピアノが不可欠であり、練習は数ヶ月行ったそうだ。ポーターの曲でいちばん好きなものは? と聞かれると、“All Of You”を歌いながら答えてくれた。
さらに共演者のアシュレイ・ジャッドについても、全くベッドシーンのないの映画であることから「僕は性的にとても魅力的なので、アシュレイは困っただろうな」とここでもクライン節は炸裂していた。
クラインの名演だけでも十分見ごたえあるが、数々の大物ミュージシャンの登場も話題を呼んでいる。クラインがこの日絶賛したナタリーコールやアラニス・モリセットをはじめとして、ポップスターのロビー・ウィリムズからエルヴィス・コステロまで、新旧のミュージシャンたちがそれぞれのスタイルでポーターの曲を歌い上げている。特に見慣れたグランジとはうってかわってフリルのワンピースで登場するアラニスは見逃せない。ついでに衣装に関していえば、なんとあのジョルジオ・アルマーニも制作に関わっているそうで驚きである。
同監督作品『海辺の家』を含め、近年シリアスな役が多いが、「歳をとったからコメディに出演しなくなったわけではない。これからもコメディに出演するし、いろいろな役を演じたい」と語った。事実、次作『ピンクパンサー』ではスティーブ・マーティンの相手役が決まっているとのことなので、今後はシリアス、コメディ両方のクラインを楽しみにしたい。