今年で20周年をむかえた東京国際ファンタスティック映画祭(10/14〜10/17日)。その記念すべきクロージング作品に選ばれたのは、『ボイス』で日韓の映画界を震撼させたアン・ビョンギ監督による『コックリさん』だ。韓国ホラーの旗手が放つ新たなる恐怖の世界をいち早く見届けようと、会場には多くのマニアが詰めかけた。上映後の興奮もまだ覚めやらぬ中、アン・ビョンギ監督と主演のイ・ユリ&イ・セウンの貴重なインタビューをとることができた。
| ::韓国語のタイトルは『分身娑婆(ブンシンサバ)』 |  |
携帯電話をテーマにした『ボイス』で韓国映画界に一躍その名をとどろかせたアン・ビョンギ監督。その凄惨な世界観からどんなものすごい風貌の人が出てくるのだろうとドキドキしていると、すらりとした長身にスーツがよく似合う俳優のような甘いルックスの男性と、人形のように可憐な2人のヒロインが姿を現した。
::まるで楳図かずおの漫画に出てくる少女のように愛らしいイ・セウン(右)と、ミミズを食べた(!)イ・ユリ(左)。背後のポスターとは別人のよう。
女子高生ユジン、女教師ウンジュを始めとして、本作の鍵を握るキャラクターはすべて女性だ。主要キャストのほとんどに女性を起用した理由について監督は「(今作のテーマとなった)情念や怨恨は、男性よりも女性を主体にしたほうが圧倒的に描きやすくリアリティがあった。だから自然に女性が対象になっていった」と語った。
本作でウンジュ役に抜擢されたイ・ユリは、映画デビュー作にしてミミズを食べるという怪演を見せた。さてそのお味はというと…。「生きダコだと思って食べたのでそのときは夢中で気がつきませんでした。あとで知って驚きましたが、結果的にそのシーンではあまり効果的に使われていなかったので少し残念でした」と末恐ろしい発言。一方のイ・セウンは大きな眼に長い睫毛が印象的で、まさに美少女という言葉がふさわしい。「目に見えない恐怖を表現するのに苦労した」というこの可憐な少女が同級生から受ける陰惨ないじめはある意味呪いより恐ろしいかもしれない。

::両手に花のアン・ビョンギ監督。ホラーの旗手の素顔は女性に優しい紳士でした。
隣国ゆえに共通点も多い日本と韓国だが、韓国でも“幽霊”のビジュアル的なイメージは「白い顔に長いストレートヘア」だというからまさに一致している。
ところでファンにとってどうしても気になるのは監督自身が好きなホラー映画だろう。『シャイニング』『エクソシスト』『エイリアン』『オーメン』…などたくさんのタイトルを挙げた後、「つまり全部好きなんだけどね」と笑った。日本のホラー映画では『リング』『死国』そしてもちろん『着信アリ』(三池崇史監督)も鑑賞済み。ちなみに『死国』ヒロインの栗山千明もやはりストレートのロングヘアがトレードマークだが、「洗練されていてよい女優だと思う」と監督も絶賛していた。
そんなアン・ビョンギ監督にホラー以外で手がけてみたいジャンルを聞いてみると“武林物(アドベンチャー)”という答えが返ってきた。「5年以内にはやってみたい」という言葉に早くも期待が高まるが、まずはこれまでの集大成でもある『コックリさん』で思う存分に恐怖の世界を堪能していただきたい。
| ::ベアトップにパンツスタイルでクールなイ・ユリ(右)とカラフルなスパンコールをあしらったシフォンドレスが可愛いイ・セウン(左) |  |
『コックリさん』
監督:アン・ビョンギ
出演:イ・セウン、イ・ユリほか
配給:ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
公開情報:2005年日本公開予定