「あっ!タキシード!」
原宿の明治通り沿いでボクは、「タキシード」という誰かの名前を呼ぶようにつぶやいた。
何人かが振り返ったのを見るとやはりかなり大きな声を出したに違いない。
浜田編集長から、
「イシコさん、せっかくだから赤絨毯の上をあがれるプレミア上映も予約したんだけど、タキシードある?」
と言われ、
「うん。大丈夫。何とかなる〜」
といつものようにいい加減に答えていた。
何とかなるとホントに思っていたのである。
しかし、シャツ、カフス、靴下、エナメルの靴、蝶ネクタイまでは何故か持っているのだが、肝心のタキシードを持っていないのである。
レンタルでいいかなぁとも思っていたのだが、今後、使うかもしれないので、思い切って買うことにしようと、このブログを始める前に決意したのだった。
しかし、すっかり忘れてしまっていた。
今、思えば、何故、今後、使うかもしれないと思ったのだろう。
使うか?なかなか使わないだろう。
でも、まぁ、いいや。
タキシード選びなんて楽しそうだし。
もし、着なくなったら、普段着で着ればいい。
って着れるか?着れないだろう。
どちらにせよ、イシコのタキシード探しの旅が始まった。
しかし、タキシードって、どこにあるんだ?
ちょうど、「ビームス」の前に居たので入ってみるが、見つからない。
これはまずいぞ。
まぁ、東急か西武などのデパートに行けば、あるだろう。
仕方なく、外に出ると、料理研究家のケンタロウ氏のマネージメントをしている嶋崎氏とバッタリ会う。
「お〜、イシコさん、久しぶり〜!」
「お久しぶりです〜。タキシードってどこに売ってるか知らないですかぁ?」
なりふり構わず、聞き始めるイシコである。
久しぶりに会って、いきなりタキシードの売っている場所を聞かれる嶋崎氏はかわいそうである。
「え?あ?そうだ。イシコさん、カンヌ行くんだよね?うらやまし〜!そうっすね〜。ユナイテッドアロウズがやっている「District」なら、絶対にありますよ」
「その、Disなんちゃらは、どこにあるの?」
「キャットストリート」
さすがは、恵比寿で眼鏡ショップも経営している彼はファッションにも詳しいのである。
再会の喜びも早々に切り上げ、イシコはさっそく、キャットストリートに向かうのであった。
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