カンヌ映画祭から戻ってきて、初めて試写を観た。
「映画祭に行ってから、映画の見方が変わった?」
戻って来てから、ある人に言われたが自覚はない。しいて言うなれば、どこの配給で、どこの製作か(映画が始まる最初に出てくるロゴのような映像)を、ほんの数パーセントくらい気にして見るようになったことくらいである。数パーセントってたいしたことないなぁと言われそうだが、「東映」の波しぶきと「松竹」の富士山、「MIRAMAX」の夜景、「GAGA」のロボットくらいしか区別がつかなかったイシコとしては、これでも、かなりの成長なのである。
で、『狩人と犬、最後の旅』の試写を観る。ロッキー山脈に住んでいる最後の罠猟師の真実の話である。常日頃、かっこよく皺が刻まれていく年のとり方をしたいなぁと思っているのだが、この映画に登場する主人公ノーマンウィンターは、まさに理想の皺が刻まれている。過酷な自然の中で、ワイルドに生きて来たことを皺が物語っているのである。ふと、2年程前、スゥエーデンのスキー場で撮影をしていた頃、似たような皺に出会ったのを思い出した。
ちょうど、このセレブログが始まった頃である。撮影の打ち上げで、この映画にも出てくる犬ぞりに乗って、1時間程度、山奥へ行った。山奥で、トナカイの肉を御馳走してくれた男性の皺の深さは、まさにノーマン・ウィンターに似た皺だった。
そのとき自堕落な生活で、二重顎になった皺をさすりながら、
「さぁ、俺もかっこいい皺が刻まれるように、明日からワイルドに生きていくぞ!」
そう誓った気がする。
あれから2年。
目の下の小皺が増えたくらいである。
::ミャンマーのヤンゴンに居るとき、散歩していると、いつも寝ていたイシコ似の犬。お前もワイルドな犬ぞり生活は、絶対、無理だろうなぁ。