5月1日。フランスでは相手の幸せを願って、春を告げる花とされるスズランを贈る風習がある。この日だけは誰でも路上でスズランを売ることが許されており、フランスの街中にスズラン売りが並ぶ。地下鉄の駅構内でもひっきりなしにスズラン売りから声をかけられる。まるでフランス中がスズランの香りに包まれるようだ。
今年のスズランの日は前日に引き続き夏が来たかと思えるほどの高温。暑さが苦手なスズランたちにとっては過酷な天候になってしまった。街角だけでなく、花屋の店頭でも厳重に管理されたスズランを売っていたが、残念ながら暑さにやられ、お客さんの手に渡る前にしおれていくスズランたちもいた。 こんなに弱い花だからこそ人に贈るという粋な発想なのだろうが。
花屋で見かけたひとコマ。
「スズランをください。」
「はい。こちらのスズランはあちらのスズランに比べて花も大きくとてもきれいです。 そのためちょっとだけ高くなってしまうんですよね。でも、その分長い間…」
「幸せを買いに来てるんです。ちょっとしたお金で幸せが手に入るなんて、素敵なことですよ。そのスズランをください。」
「はい!」
その男性客の微笑みに満面の笑顔で応える花屋さん。スズランが心なしかシャッキリして見えた